あちこち塗装がとれ、子どもの落書きもある古いピアノ。
「音は 出るのだろうか・・・・?」
体育館で初めて、どんぐりピアノに出会った時の印象です。弾いてみて、その音の柔らかさと深さに、心がふるえました。大事に守られてきたピアノの音だとわかりました。
この絵本を手に取るたび、「どんぐりピアノの歌」や大型絵本「ぼくはどんぐりピアノ」の製作に携わってくださった皆様方、また、これまでの永きにわたり、どんぐりピアノを大切に保管してくださった三体小学校・三体中学校の先生方に対する、感謝の気持ちでいっぱいになります。
平成十二年には,「当時の方々の努力と教育愛を忘れてはならない。」と、この絵本の基となった、大型絵本「ぼくはどんぐりピアノ」が保護者・教職員の手により完成しました。昭和二十九年当時の方々と同じように、平成九年以降の方々も、「どんぐりピアノ」を中心に、学校・地域一体となって夢を育んでこられたのです。その姿もまた,鹿児島の教育の宝であると感じます。
平成最後の三十一年度の私たちも、この実話を、できるだけ多くの皆様方にお届けしたいという思いで、小型絵本を作成しました。また,絵本作成にご協力いただいている関係の皆様方におかれましても,これまで「霧島10万本植林プロジェクト」を通し,十年もの長い間,霧島に豊かな緑をもたらす活動に努力してこられました。そして,今回もこの絵本を通して,自然の大切さ・平和の尊さを訴えたいと多大なるご協力をいただいてきたところです。「どんぐりピアノ」を中心とした、これまでの皆様方の努力と愛、そして平和への祈りがこもった絵本です
絵本には、どんぐりピアノの音を収録したCDも付いております。ぜひ、戦後間もない頃のピアノの音もご堪能いただき、鹿児島県霧島の三体という町で、この音に憧れを抱き、五万本ものくぬぎを育てた「鹿児島ならではの素晴らしい教育愛」「平和への祈り」を感じていただければ幸いです。
最後になりましたが、この物語に教育愛を見出していただき、絵本の発刊に多大な御協力をいただきました、ピアニスト入来慶子様をはじめ、妙見石原荘・石原大佑様、旅行人山荘・蔵前壮一様、バリトン歌手 瀬戸口 浩様、鹿児島県ホテル旅館生活環境衛生同業組合霧島支部様,霧島市教育委員会の皆様方には、心より感謝を申し上げます。
皆様方に愛と祈りが届きますように。
霧島市立三体小学校
校長 山下 佳子